今夜も一番乗りである。マスターも係の者も元気で何よりだが、冒頭の話題はやはりオリンピックだ。
マスター:「いやあ、カーリング女子の日本代表はすごいですね。最終日の決勝に進出してメダル獲得ですもんね。オリンピックの最終日ですよ。やっぱり何か持ってますねぇ・・・。」
当方:「”何か持ってる”っていいですね。そういう人になりたいけどなかなか難しいですよね。そういえば、寿司竜のお客さんで”何か持ってる”といえば誰ですかね?」
マスター:「うちのお客さんじゃあそんな方は居ませんよ。少なくともHさんは持ってないですね。もしかしたらTさんあたりは持ってるかな。いやあ、やっぱり居ないな。」
などと勝手に人の評価をしていると、ぐりんぐりんのMさんが登場である。この方も何か持ってるような感じはないが、ぐりんぐりんが好きなだけあって体力と精●は持っていそうである。
そのMさんは着席早速燗酒を注文するが、なかなかお酒が出てこない。10分ほどして「まだなのかなあ」などとMさんがつぶやくと、「大丈夫ですよ、ちゃんとやっててもう少しですよ」などと厨房の奥から声がするが、ややしばらくして、ようやく一升瓶のふたを開ける「ポン」という音がする。思わずMさんは「あれ、いまからやるの?」と悲しそうな声を上げるが、厨房の奥からは「いえいえ、さっきからやってますよ」と力強い返答がある。この堂々とした態度は流石である。
コロナの危機も難なくやり過ごし、マスターという人もうらやむ素晴らしい素晴らしい伴侶を得、シロアリたちを自由自在に操り、忘れた頃に一升瓶を「ぽん」と開ける、やはりこの係の者が寿司竜の関係者で一番”持っている”人かもしれない。