今夜は同僚と6時待ち合わせだが相手より少し早く到着。奥に卑猥さんの席が2席確保してあり、その手前のコーナー部分2席が我々の席であるが、そこから1席おいてHさんグループの席があり、その手前にもすでにお客様が居て賑わっている。またいつもの慣れ親しんだメンバーかと思っていると、我々の隣は、最近一人で時々来店するようになった若い女性の予約席であるという。
「マスター、その若い娘(こ)は大丈夫ですかね。せっかく将来有望なのに、若いうちからここに来てるとシロアリになっちゃいますよ。」
「そうなんですよ。シロアリに揉まれて、芽が摘まれないように私がしっかりサポートしなくちゃね。」などと張り切っているが、これまで有望な人材の芽を摘んできているのは自分であるという自覚がない。
と、その本人が来店である。透明でないパーテーションで仕切られているため、良くは見えないが、なるほど若さがある。寿司竜には悶絶美人、超絶美人、銀河系美人、東京見返り美人、普通美人などいろいろな美人がいるが、それに負けるとも劣らない将来のある美人である。
すると、今までうるさいぐらいにまとわりついてくだらないことを言っていたマスターがその娘(こ)に掛かりきりになる。
「今日は何にしますか?何でもおいしいですよ。」などと普段見たことがないだらしのない笑顔を見せながら(いや普段通りだらしのない笑顔を見せながら)、背面カンターにある扇子まで持ち出して、「今日は暑いですね」などと、あおいであげている。毎日のように来店してお店に対する貢献度が大きいHさんには見せたことがない、甘々の態度である。今日は少し蒸し暑いが、余計に蒸し暑くなる。
”許せない奴”である。
しかし、その後、奥に卑猥さん、中央にHさんが揃ってみると、やはりなんと言っても若い女性が居ると華やぐものである。いつもシロアリばかり相手にしているマスターも、たまにはこのような華がなければやってられないか・・・この新参の美人(寿司竜における美人名はまだない)に免じて、今夜のところはこの”許せない奴”を許すことにしよう。