先週の金曜日に続き、久しぶりの営業日連荘往訪である。カウンター奥に数人分の予約席、その手前にはミッキーさんの一升瓶が輝いている。
「またまたミッキーさん来店なんですね。最近の来店頻度はHさんをしのぐほどですよね。まるで競争しているみたいです。」
「ちっぽけな競争ですね。なんの足しにもなりませんよ。でも、Hさんは今日も来るんじゃないかな。」
「それにしても、先週の元イケメンのOさんはかっこよかったですね。英語でロシア人に説明してましたもんね。」
「ロシア人だから通用したんじゃないですか?ロシア人が本当にわかっていたのかどうか、疑わしいもんです。」
なるほと、そういえばそうである。こちらは英語がテンでダメなので解らなかったが、Oさんの英語のような会話は本当に英語だったのか、本当にロシア人に通じていたのかどうかもわからない。やはり、マスターの見る目は鋭い。
「話は変わりますけど、先日、昔お世話になった方とカラオケいったら、その方が”徒花は咲いたか”という歌を歌ったんですよ。HORIKENが歌っているんですが、”徒花”というのは”咲いても実を結ばずに散る花”ということで、寿司竜を思い出させるいい歌でした。マスター知ってますか?」
「いいえ、知りませんね。いい歌というか、いい詩としては”人の命と空ゆく雲はどこで散るやら果てるやら”なんていう言葉に感動しましたね。」
今夜の話題は、珍しく無常ともいえる話題である。こう毎週毎週はずれてばかりいるとそういう気分になるのかもしれないが、この週末は競馬の祭典ダービーだ。Hさんともども久しぶりに当てて、徒花にも実を結ばせたいものである。