今週、上野にある国立科学博物館の昆虫展に行ってみた。子供連れで大賑わいだったが、興味深い内容がいくつかあった。
一つ目は「世界最大の巣」というコラムで、「目視できる世界最大の昆虫の巣はシロアリがつくるアリ塚で、高さが4mを超える。アリは通常、体の匂いで巣(コロニー)の仲間を認識しており、同種でも違う巣のアリと暮らすことはない。だが、巣仲間の認識が寛容な種や同じ巣に由来する巣仲間同士では、隣接する巣と巣が融合し、はるかに巨大な巣(スーパーコロニー)を作る場合がある。」として、ヨーロッパにおける6000kmにもおよぶアルゼンチンアリのスーパーコロニーを紹介している。
二つ目は、絶滅種に関する掲示で、「トキウモウダニ」というダニについての説明である。「トキの羽に付着して生活し、カビや古い皮脂を食べて除去するなど、相利共生の役割を果たしていたダニ。日本産トキが2003年に死滅したと同時に本種も絶滅したとされている。」
とある。ダニと聞くと、嫌な感じがするものであるが、かわいそうなダニではある。
普通「昆虫展」などというと、世界最大のカブトムシであるヘラクレスカブトムシなどに目が行くが、寿司竜通いをしていると、どうしてもシロアリのような日陰者に目が行ってしまう。
そんな日陰者が世界最大の巣をつくるなど、意外な頑張りを目にすると嬉しくなる。そして、トキウモウダニのように、寿司竜が滅亡すると当時に、絶滅する運命の者たちに思いをはせるのである。