今夜は元同僚とほぼ1年ぶりの再会である。インスタとかで時々消息を見ているので久々という感じもしないが、やはり対面での会食は良いものである。まして、カウンターの寿司屋では!(そこに板前が邪魔だが・・・)。
5時半到着だが、他に2名二組のお客さんもちょうど5時半スタートということで、いきなりマスターは仕事に全開だ。ラジオの相撲放送も聞けない状況だが、手際よくすでに用意済みの小鉢(煮たらこ、もずく酢、なまこ酢そして玉子焼き)がでてくる。係りの者も今夜に限っては水の出し忘れも、小皿の出し悪れもない上々のスタートである。
今夜は一年ぶりの再会とあって近況報告に花が咲き、マスターのダジャレが入り込む余地がない。時折昔話が混じったり、懐かしい別の同僚の話をしながら、お刺身、さざえのつぼ焼き、そして握りと美味しいお寿司がすすむ。なんだが品の良い高級店に来たようである。元同僚はあと一年程度以内には、自分のお店を開業すべく準備中などなかなか前向きな話題もあり、明るい気分になっていつも美味しいお寿司がなお旨い。
マスターのダジャレを聞かないせいか、楽しい時間はあっという間に過ぎ、ぼちぼち上がりの時刻である。最後にいつもの甘えびの頭で出汁をとった味噌汁を注文するが、生憎甘えびの出汁の味噌汁は終わったということで、普通のなめこが入ったお味噌汁をいただく。これも旨い。そして、お互い再会を約してそれぞれの家路につく。本当に楽しく美味しいひと時だった。満足である。
・・・・・しかし、その時ふと我に返る。何か忘れ物をしたような。今の寿司屋は何という寿司屋だったろうか。くだらないダジャレも活舌の良い笑い声も、いつも惜しい惜しいと悔しがっている涙もない寿司屋とは何だろう?あたたかく満足な気持ちの中に、ふっと隙間風が入った夜である。