5時過ぎの到着。週末にダービーがあったことに加え、元巨人の長嶋茂雄が亡くなったので、その話題でマスターの集中砲火を浴びることを心配していたが、着座まもなく、マスターが大好きなK業界のY山さんがお連れさんを連れて来店し、続いて元イケメンのOさんも来店したので、マスターの口はそちらの方へ向かう。
元イケメンのOさんはダービーを取ったようで、その話題をマスターに振り向けると、待ってましたとばかりに「良いものをお見せしますね!」とダービーの当たり馬券を見せて自慢する。
「土曜日も日曜日も黒ボッチ(的中)だらけですよ。ウヒヒヒッ!」と上機嫌だが、3連単的中とはそれもうなずける。
Hさんはどうだったのか気になるが、「的中だがマイナス、いつものことですね。」とのことだ。昨年のダービーはダノンで正規の配当を稼いだのに加えて、ペーパーオーナーとしての配当もあって、年間の寿司竜に使う費用の半分くらいは稼いだようだが、今年はその逆のようだ。厳しい・・・。
それにしても元イケメンのOさんが元気である。ひとしきりダービー談義をして最初のビールを飲みほした後は、「奥さ~ん、水割りセットね!」と、のれんの奥に居る係りの者に声をかける。
「奥さ~ん」とはよい響きだ。しかもイケメンの口から発せられると艶っぽい。元イケメンからそう呼ばれて、のれんの奥でしびれているのではないか。
「そういえば、最近お嬢さんはお店に来ないんですか?最初みたときはセーラ服だったのに」などと水割りセットを持ってきたその奥さんに語り掛けているが、なんと、Oさんはお嬢さんのセーラー服姿を知っている古参だったのだ。名古屋出身でドラゴンズファンだったが、最近は弱いので見放しているとか、昔賄い付きの下宿にいたことがあるとか、数年海外勤務があるとか徐々にその全貌を現しつつあるが、今夜は競馬も少しはやるということがわかってきた。
そんな古参のOさんが「今夜はミッキーさんは来ますかね」などとミッキーさんのことを気にしている。「ミッキーさんがいるかどうかはすぐわかりますね、声が大きいから。寝ているときもわかりますね、静かですから。」とミッキーさんの特徴をよくつかんでいるが、話しぶりからするとどうやらミッキーさんのことを好きなようである。
浅草橋さんと言い、元イケメンのOさんと言い、寿司竜の古参のお客さんは、なぜか皆ミッキーさんに惚れるようである。