寿司竜日記 2024年9月5日(木)晴れ 枯れすすき

最近、介護の関係で古い昭和歌謡を聞く機会が多いこともあって、今夜は古い昭和歌謡の話題となる。

最初の話題曲はちょうど半世紀前に歌われたさくらと一郎の”昭和かれすすき”である。随分久しぶりに聞いた歌であるが、当時は何とも思わなかった歌詞の重みがずんと胸に響く。

(1番)貧しさに負けた いいえ世間に負けた この街も追われた いっそきれいに死のうか 力の限り生きたから 未練などないわ 花さへも咲かぬ 二人は枯れすすき

(2番)踏まれても耐えた そう傷つきながら 淋しさをかみしめ 夢を持とうと話した 幸せなんて望まぬが 人並みでいたい 流れ星みつめ 二人は枯れすすき

いかにも昭和歌謡という詩で良いが、3番はもっと良い。

(3番)この俺を捨てろ なぜこんなに好きよ 死ぬときは一緒と あの日決めたじゃないのよ 世間の風の冷たさに こみあげる涙 苦しみに耐える 二人は枯れすすき

二人で希望に燃えた日々。それに向かって手を取り合い生きる二人。しかし、人生は思うように行かない。器量の良いお前をこんな俺の人生の巻き添えにはできない。お前はお前の人生を歩めと涙ながらに告げる板前。そんな瞳をじっと見つめる係りの者。・・・苦労を愛で乗り越える二人の姿。まさしく、その人生が目の前にあるのである。

じっくり昭和歌謡に浸っていると、予約時間より早くお客さんの来店である。

「随分早いですねぇ~」とマスター。

「ええ、仕事止めてきました」

「いいですね、簡単に止められる仕事で!」

と、踏まれても耐え、世間の風の冷たさに涙も枯れつくして、今やお客様も何も怖いものがない枯れすすきのようなそこに板前である。

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