自宅から寿司竜へのルートは、銀座線三越前経由と神田駅経由があり、帰りはほぼ100%神田駅から帰るのに対して、行くときは気分によって三越前駅経由と神田駅経由がほど半々である。今日は三越前駅経由で向かうと、駅改札を出た地下通路の室町三井タワーの地下部分でバイオリンのデュオの演奏を行っている。いつもは演歌中心の自分であるが、地下通路に響くバイオリンの音色もなかなか素晴らしいものだと思いながら通り過ぎて、寿司竜到着。
さっそく係りの者に「今来る途中にバイオリンのデュオの演奏やってましたよ。なかなか良かったですが、思い出したのはお嬢さんのことです。お嬢さんにも、バイオリンとかピアノとか習わせたんですよね」と聞くと
「ピアノはやらせましたけど、あんまり熱心ではなかったですね。テニスとか体動かす方がよかったみたいです」とのこと。そこへマスターが割り込んで
「その家、その家庭に似合ったものがありますからね。ウチはバイオリンとかいうのは柄に合いませんよ。ウチのお客さんだって、クラシックとかピアノなんてのが似合う人はいませんからね。ウチのお客さんににあう楽器はせいぜいウクレレぐらいのものですね!」などと図星のことをいう。さらに
「でもあのミッキーさんは昔はバンドやってたらしいですよ。確かに声はよいですもんね。」
「確かにあの声、あの声量ならサラリーマンではなくて、歌手もやれましたね」と頷くと
「それはだめですよ、顔が今いちですからね。プロになるにはそれなりの容姿というのが必要ですよ。」と本人が居ないと思って手厳しい。
あの大王だって若い頃は水もしたたるいい男だなどとマスターは言っていたくらいだから、ミッキーさんだって若い頃は若い女性が取り巻いて、そのバンドに黄色い声援を送っていたに違いないなどと心では思ってはいるが、そのミッキーさんは今夜は家庭の事情で予約を取り消したようだ。おかげで店内は静かで上品な雰囲気であるが、少し寂しくもある。
とそこへ、ウクレレが得意なHさんの登場である。今夜はどんな曲を奏でてくれるのであろうか楽しみな寿司竜である。