新年度最初の往訪で6時ごろ到着。美しい桜、萌え出る若葉、そしてピチピチの新入社員らしき若者を見かける良い季節だ。
新入社員といえばミッキーさんである。ミッキーさんの会社の入社式では、新入社員が壇上に上がり一人ずつ意気込みや抱負を語るらしいのだが、その大イベントの設営・進行に重大な役割を担っているのがミッキーさんなのだ。入社式には当然オーナー夫妻も出席するが、うまくいって当たり前、何かへまをやらかすと大変なことになるあまり割に合わない役割と言えるが、その大役は無事終えただろうかと思いながら、
「今週はミッキーさんお見えになりましたか?」と聞くと
「まだ来てないですね。最近、浅草橋さんと仲良くなっちゃって、もしかすると今日あたり二人で銀座の焼鳥屋に行ってるんじゃないかな。」とのこと。
行きつけのお寿司屋さんの常連さん同志で銀座の焼鳥屋に行くとは幸せなことである。やけ酒とか何か慰められているとかということではなさそうなので、入社式も無事終わったのだろう。
やがてジェームスノートン似のマスターのファンという女性が来店し、たまたま台湾の話題となる。
「台湾と言えば故宮博物館、故宮博物館といえば”白菜”ですね。でも、翡翠の原石があったとして、それを美術品に仕上げる場合、野菜をつくるというのは中国らしいですね」とその女性。
なるほどである。その国を代表する美術品が野菜というのは中国ならではかもしれないが、「日本人だったら何をつくるかな」とか、「外国人に一番有名な日本の美術品は何かな、葛飾北斎の浮世絵富岳三十六景の神奈川沖波裏かな・・・」などと、寿司竜では珍しく、競馬とパチンコ以外のまずまず崇高な話題となっている。
学生時代フルートをやっていたという高貴なミッキーさんがここにいたら、どんなコメントを残すか興味深いところだが、今頃は銀座で浅草橋さんと崇高な話題を語らっていることだろう。