♬生まれてきたのは何故さ 教えて僕らは誰さ 遠い雲に聞いてみたも何も言わない♪ ♪だから探すんだ君と でかい青空の下で この若さをすべて賭けていい何かを♫
♫愛する人がいるなら 求めるものがあるなら 何にも怖くはないさそいつが青春♪ ♪涙は心の汗だ たっぷり流してみようよ 二度と戻らない今日のために♬
今夜はこの、山川啓介作詞、いずみたく作曲「帰らざる日々ために」を心の中で口ずさみ、味わいながら往訪である。
「マスター!マスターは”いずみたく”って作曲家知ってます?彼が台東区の出身で、いずみたくに関する展覧会があったんで行ってみたんですよ。生涯で15000曲も作曲してるとか、いろんなジャンルの曲つくってるとか改めてすごい人だっていうことがわかりました!」
「知ってるも何も、いづみたくの関係者がこのお店によく来てますよ。いずみたくはミュージカルの曲をたくさん作ってて、その関係の方ですね。だからこのゴールデンウイークにもそのミュージカルを見に行ったんですよね。」
なるほどである。このゴールデンウイークに大好きな文珍の落語を見に行くのは解るが、柄にもないミュージカルを何で見に行ったのかと思っていたら、そんなご縁だったのだ。
「でも、マスターの青春時代はどんな感じですか?どっかでアパートなんか借りてたんですか?」
「そんなもん、借りないですよ。30過ぎまで会社の寮とか、友人のアパートに居候してたんで、自分の個室に暮らすなんてなかったし、板前の先輩からは、『休むのは客の前だけにしろ!』なんて怒鳴られながら毎日休みなく働いてましたから、青春ドラマを見る時間もないし、そんな青春なんてないですよ。」
なるほど、確かにいわゆる学園ドラマ的な青春はなさそうなマスターではあるが、「そんなマスターでも結婚決まったときは、奥さんのご両親に”お嬢さんをください”なんてご挨拶に行ったんですか?」
「当然行きましたよ。当時女房は武蔵小杉に住んでたんで、そこまで行きましたね。」
どんな顔をしてどんな口上を述べたのか興味は尽きないが、そこへ青春まっさかりとおぼしき若い外人さんのカップルが来店。
「How many time in Japan?・・・ああ、初めてなんですね。・・・何しに日本に来たの?・・・観光?・・・ああ、ハネムーンね。」などと、外人さんと全く違和感なく会話をしながら対応している。楽しそうにも見えるが、若いカップルと会話を楽しみながら、今こそ青春を楽しんでいるのだろう。
しかし、寿司竜で青春と言えば、浅草橋さんかもしれない。今日も、開店前に雨宿りで寿司竜に立ち寄り、お茶だけ飲んでいそいそとある方面へ出かけて行ったのは、いまだに青春真っ盛りと言えるだろう。うらやましいことである。


