旧中山道の旅に出かけていたことなどで、2週間ぶりの往訪である。
2週間も行かないと、もう一年も行っていないような気がするが、いつもと同じように三越前からお店に向かう。お店があるかどうか浦島太郎のような気分で店の前にたどり着くと、以前と同じように手書きのメニューをぶら下げた電飾看板に明かりがついており、ほっとして階段を降りる。奥に親子の3人連れのお客さんがすでに談笑中のほか、ミッキーさんの一升瓶など予約のお盆がそこそこおいてあり、以前と変わらぬ風景で、これも一安心だ。よく考えてみれば、いまだに携帯電話も持たず、なんの進歩もない寿司竜が二週間余りで変わるはずはないのだが・・・。
お客さんがいるのにも関わらずカウンター内には誰も居らず、厨房で動く気配がするので、これはもしかして玉子焼きを焼いているのかと思っていると、のれんからぬっと顔を出して「おかえりなさい、今玉子焼いてるんで少々お待ちを」とこれも以前と全く変化のないしまりのないマスターだ。
係りの者がめずらしくてきぱきとおしぼりと水割りセットを持ってきてくれるが、これは少し進歩している。連休明けで体が軽いのかもしれない。
奥のお客さんの対応が一段落すると、マスターがこちらの方に来て「BIGニュースです。トリプルコークが勝ったんですよ!3勝目ですね。Wさんも喜んでいます。もう少でオープン馬だし、来年は天皇賞も可能性ありますね。でも3連単当たったんですけど、3150円しかつかなかったんですよね。」と半分ぼやきながらも、馬主のWさんよりも嬉しそうだ。
そんな話をしていると、ミッキーさんが到着。「今日でお店に三連荘です。今日はHさんに呼び出されちゃって」などとぼやいているが、Hさんに呼び出されるとは変だと思っていると、「間違えました、浅草橋さんでした」とのことである。
そんなことだろう。あの優しいHさんがミッキーさんを強引に呼び出すはずはない。そんなことをするのは浅草橋さんしかいないのである。するとまもなくその浅草橋さんも到着し、いままでこちらを向いて話していたミッキーさんが浅草橋さんにべったりとなる。
でもいいのです。嬉しそうな二人を見ていると幸せになれます。
そんな二人を祝うかのように、もう一人親子連れの3人組が来店だ。子供を挟んで美味しそうにお寿司をいただく親子連れ二組、強引に呼び出されたとぼやきながらも楽しそうに語らう二人連れ野郎。
2週間空いて往訪した寿司竜は、以前と全く変わらぬ平和の園である。