旧中山道旅の記録② 3日目 木曽福島から寄り道して王滝村へ

●3日目 10月21日(火)

木曽福島の宿を6時半に出発。今日は暫時中山道を離れて隣の王滝村に向かう。私の勤務先のお寺の住職の友人が王滝村鳳泉寺の住職をされているということで、この機会に山の中のお寺を見に行くのである。木曽福島駅6時58分発王滝村行きの始発バスに乗車すると、このバスも乗客は私一人で、終点の王滝村まで約40分貸し切り状態であった。車窓右に御岳湖を見ながら王滝村に向かうが、途中三岳集落でランドセルをしょった子供を見る。この春の瀬戸内海の島々の旅でもそうであったが、集落に一人も子供がいないことは珍しくなく、過疎地で子供を見かけることはまずない。子供は熊よりも珍しいともいえ、何か縁起のよさを感じる。

バスの終点から少し歩いて鳳泉寺に到着。境内を見ていると、私の勤務先の住職から連絡が行っていたらしく、鳳泉寺の住職が私を見つけてくれて、本堂に上げてくれたばかりでなく、茶菓までいただき、寺院全体を案内していただいた。私は北海道出身で田舎では明治時代以前のものを見ることができないことから、古い習俗・民俗遺産に興味があるのだが、このお寺の古いお墓を案内していただくと、1700年代前半のお墓があった。地元の有力者のお墓と言うことだが、大変興味深い。ついつい住職と長話をしていると付近で「キーキー」と獣の鳴き声がする。何かが熊にでも襲われているのかと思っていると、「猿ですね」と住職。その後鳳泉寺の住職に御嶽神社まで車で送っていただいて参拝した後、帰りのバス停に向かって歩いていると、猿の親子が電線を伝っているのを見かけて、なるほど先ほどの鳴き声は猿なんだと山の中の王滝村を実感したあと、9時42分発のバスで木曽福島に戻る。帰りはもう一人乗客が居て貸し切りではなかった。

木曽福島に10時半到着、次の目的地に向かうバスが出る11時までの間、駅前の蕎麦屋でかき揚げそばをいただく。やはり、木曽のそばは旨い。さっとそばをいただき、バスで次の目的地日本三奇橋のひとつ木曽の桟(かけはし)、さらにそこからは歩いて途中大相撲元大関御嶽海の出身地上松(あげまつ)を通過して観光地寝覚の床を見た後、最寄りの倉本駅から今夜の宿泊地中津川駅に向かう。本来この間に、メジャー観光地妻籠宿・馬籠宿があるのだが、宿が取れないため、いったんそこを過ぎて中津川に泊まることにしたのである。

当初計画では中津川では宿に直行の予定だったが、明治維新の時に廃仏毀釈の嵐が吹き荒れた苗木藩の苗木城址が近いことに気づき、苗木城址に寄ることとする。夕暮れが迫っており時間短縮のため、中津川駅からタクシーで城跡に向かうが、タクシーの運転手に聞いたところ、やはり苗木藩の中心だった中津川には廃仏毀釈の影響で現在でもお寺はほとんどないとのことであった。近くにある博物館に寄ったあと、城跡に登る。なかなか風情のある城跡である。そして、帰りは30分ほど歩いてバス停に。タイミングが悪く次のバスまで1時間ほどあるが、日経電子版を読みながら時間をつぶし、やがて来たバスに乗って中津川駅へ。

宿はプラザホテル栄、夕食はうなぎ料理山品だが、山の中はうなぎが良いのではと思ったのである。それなりにお客さんがいたが、肝焼きとうな重をいただく。めずらしく日本酒を飲んでしまった。うなぎも酒も旨い。

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