寿司竜日記 2025年9月29日(月)晴れ 雄物川よ永遠に

今夜は久しぶりに一人で5時過ぎに到着。いつもは銀座線三越前で下車し、帰りは神田駅で乗車するのだが、今日は神田で降りてみる。

神田駅で降りてお店に向かうときはいつも北口から出るのだが、今夜は東口から出ようという気になり、そして何故か中央通り沿いを歩いてみようという気になった。いつのまにか空き地になっている土地などを見ながら中央通りを進み、最後に右折していつも引きずりさんが入り浸っていた居酒屋”ほまれ”の前を通る。残念ながら引きずりさんは居ない。

そして日銀通りにでて、ほどなく寿司竜に到着。

先日は着座早々他の予約のお客さんもお見えになり、賑わいのある状況だったが今夜は時間が早いせいもあり、静かである。

「いよいよ始まりましたね、秋のG1。さすがに昨日の競馬の的中は難しいでしょうが、ダノンは頑張りましたね。私も買ったんですが、6着は惜しかったですね。5着なら賞金が出たのに。」というと、

「出馬表に記載はないんですが、6着でも賞金が出るんですよ。確か、1着の賞金の5%かな。昨日のスプリンターズステークスだと17000万円の5%だから、850万円か。」

「結構な金額ですが、大富豪のオーナーから見るとゴミみたいな金額ですね」

「飼い葉代にもなりませんね。。でもミッキーさんの年棒ぐらいにはなるんじゃないですか」とマスター。

なるほど、飼い葉代相当の年棒とはなかなかのものだと感心していると、係りの者がおしぼりを持ってきて、

「そういえば、悲しいお話なんですが、引きずりさんが先日お亡くなりになったそうです。お勤め先の方から聞きました。なんでも毎日変わらず仕事をしていたのに、急に亡くなったんだそうです」とのことである。

「そうですか。今日はここに来るとき、いつもと違うルートで来たんですよ。引きずりさんがいつも行っていたほまれの前を通ってきたんですけどね・・・。」

「それは虫の知らせじゃないですか。きっと引きずりさんが呼んだんですね。」と係りの者。

「そうかもしれませんね。でも元気だったのに急逝ということは、脳卒中かな。おととしぐらいに奥さんも亡くされてましたけど、男性一人残るのは大変ですよね。」と感慨に浸っていると、マスターが

「こればっかりは、運命ですからね。どうしようもありませんよ。どちらかが先に行くのが嫌だというなら、抱き合って一緒に死ぬしかないですね。」というと、係りの者は一緒に抱かれても振りほどくであろうという顔をしている。当然であろう。

それはともかく、引きずりさんのことは寂しい限りだ。

秋田県の雄物川流域で生まれ、上京して材木屋さんに勤め、その後一念発起して税務の勉強をし、最後まで税務関係の仕事の現役のままであった。いつも居酒屋ほまれで飲んだ後来店し、いかとまぐろの握りと、かんぴょう巻を頼み、マスターといがみ合いながら大きめのとっくりで日本酒を2本ぐらい飲むのがパターンだった。もうそのいがみ合いを聞くことはできない。

愛妻家だったので、いまはあの世で奥さんと久しぶりに再会し、抱き合っていることだろう。

また一つ、哀愁の歴史が積み重なる今夜の寿司竜である。