今夜は夕方にかけてだんだん雨が強くなる中で早めの往訪である。到着してみると、マスターはいつものようにカウンター内の奥の方で椅子に座り唯一の情報源である東京スポーツを読み、係の者はカウンター内中央付近に屈んで何か作業をしているが、来客に気付かない。暫く様子を見ていると、マスターと係の者は目と目を合わせているわけではないが、まるで夫婦のように仲良く会話をしているではないか。いつも自分たちのことを”偽りの夫婦”と謙遜し、いがみ合っている姿しか見たことがないが、実はこれが本当の姿なんだと少し嬉しくなる。
暫く間があった後こちらに気付き、「やあ、いらっしゃい!」とようやく営業開始である。
月曜日でも有り、先週のエリザベス女王杯で数千万を当てた近所の方のことなどひとしきり競馬の話題となった後、Hさんから電話が入り、さらに悶ちゃんからも電話が入る。
久しぶりの悶ちゃん来店であるが、悶ちゃんといえば宝塚である。
「係の者さんは、最近宝塚はどうですか」
「そう、やっといけるようになったんですよ。でもやっぱり宝塚はいいですよねぇ。このパンフレット見て下さいよ。皆素敵でしょ!」
などとスターの写真を見せてくれる。
確かにすらっと背が高く足も長い。
「いやあ、本当にきれいで素晴らしいですね。足も長いし、マスターみたいですね。」と思わず本音を言うと
「あの人が長いのは鼻の下だけですよ!」
とピシッと切り返す。
確かにそうである。全体的にヌーと長い感じはあるが、鼻の下は特に長い。シロアリしか居ないときにはそうでもないが、ちょっと美しい女性が来た日には、仕事も手につかず、鼻の下がまな板に着きそうになるのを、さすが係の者はよくわかっている。
でもその鼻の下を過去最も長くさせたのは、やはり係の者だろうか。先週も係の者の若い頃の写真をシロアリたちに見せては「きれいでしょ。今思ってもこんなにきれいだったかと思うんだけど・・・」などと悦に入っていたマスターである。係の者に最初に会ったときの鼻の下の長さを今度係の者に聞いてみることにしよう。
コメント
こらぁ💢肖像権侵害!恥ずかしい😱