今夜は行商を少し早めに切り上げて6時半頃の往訪であるが、店内は一番手前からHさん、卑猥さんグループ、そして一番奥にはバンカーとおぼしき一団でほぼ満席の上、あのボクシングに超詳しい方の持ち帰りの”折り”が4つまな板脇に置いてあり、マスターは目の前の接客と”折り”の握りに忙しい。
手前のシロアリ軍団の話題は、月曜ということもあり、前日の桜花賞について。奥のバンカーとおぼしき一団の話題は、「昇格して給料上がりましたよぉ」などサラリーマン特有の内容である(うらやましい)が、加えてやはり今日はあのゴルフのマスターズで優勝した松山英樹のことである。
「いやあ、松山すごいよね!マスターズ優勝。競馬で例えると昔の春の天皇賞優勝に匹敵するな」と卑猥さん。昔の春の天皇賞といってもいつ頃を指すのか不明だが、昔の天皇賞はそんなにすごかったのだろうか。ちょっとスケールが小さいような気がする。素人的にはまだ日本馬が勝ったことがない凱旋門賞ぐらいのように思うが、そこは口には出さず、黙ってウイスキーをいただく。
さらに卑猥さん「でもここ寿司竜にも口と包丁の腕がすごいマスターが居るからここもマスターズだね」などと言っているが、今日は居ないWさんなどは、”大将”と呼んでいるので、マスターズではなく大将ズかもしれないと思いながら、そこも口には出さず、青柳のつまみをいただく。
奥のバンカーとおぼしき一団は、「”執行役員”て何ですか?」とマスターに聞かれ、「なんちゃって役員ですよぉ」などと説明する。なるほどわかりやすい説明だと思いながら、この忙しいのに奥に引っ込んでマスターが焼いたおいしいおいしい玉子焼きをいただく。
そしてあっという間に時間は過ぎ、間もなく8時という頃に、ボクシングに超詳しい方が”折り”を引き取りににお見えになり、シロアリの一団も名残惜しげに席を立ってゆく。
今日もいつもと変わらぬ寿司竜である。