寿司竜日記 2022年3月24日(木)晴れ 独裁者

6時過ぎの往訪である。

5時過ぎに来店したというぐりんぐりんのMさんが手前から3席目、一番手前には商社の勝者であるOさんのボトルが置いてあるその間に着座する。今夜は満席なのだが、予約をしていなかったMさんは、卑猥さんが来るまでということで卑猥さんグループの予約席に何とかもぐりこんだとのことである。奥はすでにお客様でごった返しており、いつもはでんと構えて東京スポーツを読んでいるマスターが、無駄口も叩かず一生懸命手を動かしている、その忙しいマスターの機嫌を損ねないように手空きのタイミングを狙って刺身を注文する。ここ寿司竜では、万が一にもマスターの機嫌を損ねてはいけないのである。お客であるという雰囲気を少しでも出してはいけないし、マスターをおだてて良い気持ちにさせないと駄目なのである。

そのようにびくびくして飲んでいると、やや暫くして商社の勝者Oさんが来店。話題はやはりロシアのウクライナ侵攻のことである。日本がロシアに経済制裁を課し、ロシアからの日本の企業の撤退が相次ぐ中、サハリン2についてもどうなるのか気になるところだが、Oさんもここは撤退やむなしなどと議論となる。エネルギー確保の視点から撤退に慎重論もあるが果たしてどうなるのか心配である。今は日本から遠いロシアとウクライナが当事者ではあるが、いつ何時ロシアや北朝鮮が嫌がらせで日本にミサイルを撃つかもしれず、ぶっそうな世の中になったものである。

そんな話をしているうちに卑猥さんの到着時刻が迫ってくる。あと10分ほどでその時刻というあたりで、Mさんは「そろそろ終わりですよ」とマスターにせき立てられる。大きなとっくりにまだお酒が残っているので「もうちょっと」と未練がましく粘るMさん。「早くどいてくださいよぉー!!」と情け容赦なく追い立てるマスター。この寿司竜では、独裁者であるプーチンならぬマスターには誰も逆らえないのだが、Mさんは粘る。

しかし粘りきれずにとうとうMさんは寂しそうにお店を後にする。間もなく入れ替わりで卑猥さんが到着し、涙ながらに去っていたMさんのことなど何事もなかったように静かに2回転目に入る平和な寿司竜である。

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