幸せの国②

この国では、昨年から、あと何年生きられるか毎年くじ引きにより決まることとなった。くじの内容は、以下の3種類である。

・期間1年で満了時再抽選あり。

・期間20年で満了時再抽選あり。

・はすれ(その場で人生終了)

はずれくじを引いた者は嘆き悲しんだ。1年を引いた者の心境は複雑だ。20年を引いた者はひとまずほっとした。しかし、1年を引いた者は、ぼやぼやしている暇はない。最短であと1年の人生である。その人生をいかに悔いなく生きるか、真剣に考えるであろう。あと1年の命を燃やす激しい恋に走るか、何としても子孫を残そうとするか、最愛の家族が困らないように財産を残そうとするか・・・・。他方、20年を引いた者はどうか。とりあえず、昨日までと何も変わらないだろうか。

1年後、また抽選の時が来た。1年満期の者が抽選対象者である。はずれくじを引いたら、今日限りの人生を、この者達はこの1年間悔いなく生きたのだろうか?

いよいよ抽選だ。緊張が走る。

結果は当然、はずれの者もいれば、1年の者も、20年の者も居た。

この国が続いたとき、誰が一番幸せなのだろうか?1年くじをひき、その1年間悔いなく生きようとし、更新できた者と、できなかった者はどちらが幸せか?更新できたとして、1年更新と20年更新ではどちらが幸せか?20年更新を引いたとき、本当に過去1年は悔いない期間と言えるのか?20年くじを引いた者は、1年くじを引いた者より幸せか?

神のみぞ知るか・・・・。

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