今夜は従兄弟とほぼ40年振りの会食である。全席予約のお盆が置かれているがまだ他のお客様は到着していない中、奥から3組目に着座して、連れが従兄弟である旨をマスターに報告すると
「今夜は珍しく満席なんですよ。奥が商社の勝者の方、次が中央競馬会の方、そしてHさん、悶ちゃん、商社の敗者の方。そのメンバーを聞いただけで、今日が何曜日か解りますね。しろありはどうでもいいんですが、中央競馬会の方は大切な方なんで、今夜はしっかりやりますよ」
と気合いが入っている。中央競馬会の方は、競馬場の観戦に関して色々相談に乗ってくれる大切な方なのだ。何しろ、競馬をやるために中学を卒業後すぐ上京したマスターは、すべてのことが競馬から逆算した行動になるのである。
「でも従兄弟と一献なんていいですね。うちも両親の兄弟が多いもんで、従兄弟が多いんですよ。最近は親の世代が亡くなって、逆に従兄弟と会う機会が増えましたね。」などと社交辞令的な会話の後は、お客様が続々到着したので、残念ながらマスターのダジャレを聞く機会がなく、従兄弟と静かな会話となる。
叔父の話から家族の話まで、親戚ならではの会話となるが、だいぶお酒が回ってきた頃には、「随分長いこと、女房と会話が無いんですよ」などと、苦労している?夫婦関係も話題になる。「そんなのどこの家も同じですよ。夫婦で仲良く毎日会話がある家庭など私の知っている中には居ませんね。」などと、お互い共感しあう。
が、ふと見ると、毎日毎日朝から晩まで一緒に居て、仲睦まじく会話をしている夫婦が目の前に居るではないか。世間ではなかなか見ることが出来ない夫婦の姿を見ることができるのも、ここ寿司竜の楽しみの一つであると気づいた月曜の夜である。