今夜も持ち帰りで5時過ぎの往訪である。係の者は奥の厨房で準備に余念が無く、マスターはいつもの通りカウンター内で悠然と新聞を見ており、誰も来店に気づかない。カウンターの外でいつ気づいてくれるかと待っていたが、数十秒後にようやく気づいてくれる。
(●マスター)「ああっ!いらっしゃ~い」「(係の者に)お~い、お客さんだぞ~」
「いつ気づくかと思ってみてましたけど、なかなか気づいてくれませんねえ」
●「ええ、この集中力すごいでしょ」
「本当!仕事以外の集中力はすごいですね」といつもの会話でスタートである。
「そういえば先日の久々の競馬場はどうでしたか?」
●「私は駄目だったんですが、Hさんはバンバン当たってすごかったですよ。終わってみたらトントンでしたが」
「トントンはすごいですねぇ」と、まずはHさんの消息確認から始まる。
「でも予定通り緊急事態宣言は終わるんですかね」
●「緊急事態から蔓延防止になるみたいですよ。でもお酒は駄目みたいです。卑猥さんが言ってました」
「まだお酒は駄目なんですか、つらいですね。でも卑猥さんの言うことなら間違いありませんね。言っていることがいつも当たりますもんね。」と卑猥さんの消息も確認される。今週も両巨頭は元気のようである。
「それはともかく前回に続いて”すしから見る日本”ですしの世界を勉強しているのですが、生保レディだった係の者はどうしてこのすし職人を選んだのですか?」と係の者に話を振るが、係の者ではなくマスターが答える。
●「惚れる世界に職業は関係ありませんよぉ!!」
かっこいいなあ、この台詞。休憩時間もラブラブに過ごしていることが前回解ったが、それは最初の出会いからずっと続いているのである。うらやましい。さすが、神田のジェームズノートンである。
●「ところで話は変わりますが、今度の金曜日はお休みにしますから」
「珍しいですね。何かあるんですか?」
●「ワクチン接種なんですよ。何かあったらまずいんで念のために休みにしました」
するとそこに、係の者が割り込んでくる。
「私はもうワクチン接種したけど、何も問題も無いので営業しろと言ってるのに、聞かないんですよぉぉぉぉぉ!」
●「万が一って言うこともあるだろう。念のために休むんだよぉぉぉぉぉ!」
と、意見が割れている。働かず、稼げないとなるとラブも何もない現実は厳しい寿司竜である。