6時少し前に往訪。お客様はまだどなたも居ない。ぐりんぐりんのMさんは来なさそうだが一応一席空けて手前から2席目に着座する。
「いやあ、マスター。ようやく今週で蔓延防止が終わりですね。ほっと一安心ですが、来週から営業時間はどうするんですか?」
「営業時間のことより、今週で終わりにするのではなくあと2週間期間を延長するべきですよ。これまで休む間もなく頑張ってきた医療従事者に一息入れる時間を作ってやらなければかわいそうじゃないですかね。ホント。」
私も以前は医療従事者の事が気になっていた時期が合ったが、コロナ騒動が2年も続く中ですっかり医療従事者のことを忘れていた。このマスターはしっかりと世の中に目配せ・気配りができている本当に素晴らしい方である。
「そういえば、夕べの地震は大丈夫でしたか?」
「電車が一瞬止まったようだけど、幸い何度もなかったですよ。でも●さんが寝返りでも打ったのかね」
「いよいよG1シーズン到来で、これからますます競馬が楽しみですね」
「シロアリ軍団の”惜しい惜しい”という泣き言を聞くのが目に見えてますよ。ホント。」
そこへシロアリ大王が到着。今夜はどういうわけか文学をはじめとする文化・芸術の話題となる。
「やっぱりクラシックはモーツアルトですね。これに何とか対抗できるのはベートーベンぐらいかな」
「今世間を騒がせているロシアで言えば、文学はやはりドストエフスキーだね。トルストイとかいろいろいるけど全くレベルが違うね。日本なら泉鏡花の高野聖かな。」
などとレベルの高い話である。大王はいつもレベルの低い下ネタの話題が中心であったが、それは他の客さんのレベルに合わせていただけで、実はその下ネタの背景にはのこのような広く奥の深い教養の裏付けがあったのである。
暗夜行路のMさんといい、この大王といい、シロアリの仮面をかぶっては居るが実は凄い方、違いのわかる男なのだ。そしてそのような違いのわかる男が贔屓にするこの寿司竜はきっと凄いお寿司屋さんなのだ。
コメント
過分にお褒めいただき恐悦至極です。
引き続きご指導のほど宜しくお願いいたします。