コロナが5類になってから初めての往訪で6時前に到着すると、一番手前のパーテーションが撤去されて少し広々と感じる中、カウンター中程に2組のお客様が談笑中だ。手前の組の方は、話しぶりからすると上司と最近入社した部下のようだ(新卒ではなく中途入社の雰囲気)が、上司とおぼしき方が檸檬サワーを呑みたいと言うことで檸檬を頼む。
「お~い、檸檬!」とマスターがのれんの奥の係の者に声をかけるが、「申し訳ありません!いま檸檬切らしてるんで、一段落したら買ってきますぅ」と係の者。すると、「じゃあ、僕がひとっ走り檸檬を買ってきますよ!」とその部下とおぼしき方が元気に出て行く。頼もしい若手だ。これで、この新人の評価もあがるだろうと人ごとながら喜んでいると、暫くしてその彼が「檸檬、みつけられませんでした」と手ぶらで戻ってくる。新入社員の身で使命を帯びて出かけていったのにまったく成果を上げずに戻ってくるとはなかなか良い度胸をしているなとハラハラしていたが、二人は何事も無かったかのようにまた談笑を継続だ。優しい上司である。
しかし、その上司はマスターのことはよく知っているようだ。
(お客さん)「この連休パチンコはどうでした?出ました?」
(マスター)「ええ、ため息だけ」
(お客さん)「・・・僕の地元の中学校は一中も二中も悪くてね・・・」
(マスター)「・・・もっと悪いのはアル中ですよ・・・」
などと楽しそうに談笑していると、結局檸檬を買い行った係の者が檸檬を買って戻ってくる。
ちょうど別の組のお客さんも檸檬サワーをのみたいとのことで、一個の檸檬を2組のお客様で仲良く分け合うこととなる。ほほえましい光景に胸がなごむ。
そこに卑猥さんと、Hさんが立て続けに来店。冒頭、昨日のメインレースNHKマイルカップの話題になる。
「4コーナー回ってダノン来るかと思いましたよね。」とみんなダノンを買っていたようだ。期待しても期待しても裏切るのは、いつか夢見たトリコ●●ブルーのような光景で、なごやかだった雰囲気が、にわかに険悪になる。こんな最中にミッキーさんが来なければ良いがと思っていると、我関せずの引きずりさんが来店。引きずりさんのとろいかかんぴょうを見ているうちに、だんだんとミッキーさんを恨む気持ちが落ち着いてくる。
「そうだ、ダノンが来ないのはミッキーさんのせいじゃ無い。逆に4コーナーを回り直線に入るまで、夢をみさせてくれた、ミッキーさんに感謝感謝だ。」とこの日は姿を現さないミッキーさんに心の中で感謝する。
いつのまにか、ほぼ満席の月曜の夜である。