先週来ようと思った日がHさんの貸し切りで満席だったため、2週間ぶりの往訪である。
いきなり「大谷が大変ですね。どうなってるんですかね。」と翔平の話題を振られるが、朝から夜中までお店に居るマスターが何でワイドショーネタのような話を知っているのかと聞くと、
「一日中ラジオつけてるんで、ラジオで知るんですよ。それで経済とか法律とか難しい話は超金さんに解説を聞いて、くだらない話のときはHさんに聞くんですよね。」と、なるほど、無駄のない適切な動きである。
そこへ、外人さんのカップルが入店する。
「アーユーフローム?」と堂々とマスター。
どうやらアメリカ人のようで、女性のほうは少し日本語ができ、お酒は注文せずお水とお茶を頼んで、メニューを見ているが注文に時間がかかる。
「大丈夫ですよ、ゆっくり考えてください」と、いつものシロアリ相手とは違う優しさである。
スマホを見せながら意思疎通を図ろうとするも、生憎なぜかネットがつながりにくくなっており大変かと思われたが、マスターにはカップルの気持ちがわかるようで、「日本人より日本語がうまいですね」などと適当にあしらいながら寿司を握ってあげている。
「おいしいです!」と笑顔のカップル。ほほえましい光景。
最後には頼まれてもいない稲荷ずしを出してあげて「サービス!サービス!!」と流ちょうな英語を駆使している。シロアリもヒアリもカブトムシも手のひらでころがし、外人さんもよい旅の思い出を持たせて気持ちよく帰させる、やはりこの道60年の年輪は伊達ではない。
そこへ、数寄屋橋さんが到着し、Hさんからは「予定時間より少し遅れる」と連絡が入る。外人さんのカップルで、ひととき雰囲気が変わったが、すぐにいつもの雰囲気に戻る寿司竜である。