寿司竜日記 2022年10月31日(月)晴れ 奉仕の精神

今夜も剪定学校の帰り、5時過ぎに一番乗りである。

引きずりさんが居ないので一番手前の席に着座すると、目の前に値上げのお知らせの手書きの紙が置いてある。世の中の値上げラッシュを受けていよいよ寿司竜も値上げなのか、マスターに聞いてみる。

「うちで扱っているウニの瓶詰めなどはこの半年で3割ぐらい値上げですよ。寿司竜の値上げは仕方ないですよね。」

「その値上げのお知らせはランチのものなんですよ。このご時世なんで明日から少しだけ値上げさせていただきます。もともとうちは”奉仕の精神”で商売してますからね。他はみな”欲しいの精神”なんですよ。」

となるほど頭が下がる言葉であるが、続けてマスター「先日落語家が来るって話したの覚えてますか?おもしろいネタがあるんですよ」「若い女性が面接を受けたんですが、その若い娘に面接官が質問したんですよ。家業は?と」「そしたら彼女が答えたのは”かきくけこ”だったんだって。どうですか、面白いでしょ!」

一瞬シラーとした雰囲気となったが、幸い他にお客さんも居ないので事なきを得て内心凍り付いた気持ちを抑え、「まあまあですね」と褒める。”奉仕の精神”である。

”そこに板前”に気持ちよくさせていい仕事をさせるには、面白くないものも笑顔で受け止める奉仕力が必要なのである。

そうこうするうちに、次々とお客さんがお見えになり、さらには空席を押さえる電話が入って瞬く間に満席となり、サラリーマン風の二人連れの方と引きずりさんが入店できずに引き上げる状況となる。うれしいことである。

すでに着座しているお客さんの中には、”奉仕の精神”の権化とも言うべきダノンにご縁のあるTさんといつもの我らがHさんが居て、仲睦まじく談笑している。”奉仕の精神”に溢れる幸せな寿司竜の夜である。

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