今日は、シロアリ大王の●さん、はるばる大阪から駆けつけてくれたあの伝説の巨人ほか寿司竜が誇る十数名のシロアリ軍団(ヒアリより怖い)による大忘年会兼明日の有馬記念の予想会である。
席は、シロアリ大王を中心に奥に超絶美人軍団、手前にシロアリ若手軍団の布陣の中、指定席とも言える一番入り口付近に着座したが、さっとマスターが近寄ってきて、鴨の燻製二切れとイカの塩辛のお通しを用意してくれる。そして、奥のほうに目配せしながら、「いつも変わり映えしないメンバーと変わり映えしない料理ですみません」などと本当のことを言う。マスターは嘘はつかない、こちらが言おうとしたことをいつも言う前に代弁してくれる。人の心を読む天才である・・・。
ともあれ、宴会の開始であるが、冒頭、我らが寿司竜の星TB号のオーナーであるWさんから、今年のTB号のふがいない成績の反省と来年の活躍を誓ってウィスキーのボトルが私宛に進呈される。ありがたいことではあるが、本当は、TB号の活躍により、私からWさんに贈呈する予定であったので、逆にいただくことになってしまったのは、申し訳なく寂しいことではある。我らの星TB号よ、このオーナーの気持ちを正面から受け止めて精進し、次回の宴会時には、私からオーナーにお礼を進呈できるよう活躍してくれ。頼むぞ!TB号!(次回のレースは1月26日とのことである)
さて、今日は、明日の有馬記念の幸運を願って、Hさんからいただいた縁起の良いボトルを飲もう。めったにいただけるものではないため惜しく飲めなかったが、ここは勝負の時である。今飲まなくていつ飲むのか、すべての運気を使って明日の有馬記念をとらなければならない。Hさんの運気に賭けよう(と口に出して言うと、たぶん皆、それは当てにならないと言うであろうが、私はHさんの運気に賭けるのである)。
そうこうするうちに、本格的な料理・お刺身の盛り合わせの登場である。とろに赤身、白身のさかな、ボイル海老など。いつもいただいているとはいえ、旨い。マスターの心のこもった包丁さばきがこの味を出すのだなぁ・・・。
と喜びに浸っている間もなく、いよいよ皆が待ちに待った料理の出番である。
玉子焼き。大きなボールに玉子をといで、のれんの奥に入って行く。やや暫くして、カウンター内に戻り、皆に切り分けて大根おろしを添えて出す。大阪の伝説の巨人はこれをいただく機会がないこともあり、「旨い旨い」といって、一瞬でぺロッである。マスターにそのぺロッの状況を目で合図したら、すぐお替わりの玉子焼きが大阪の巨人のお皿に載る。ここにもマスターの優しさが表れる。大阪の巨人はご満悦であるが、そういえば、大阪の伝説の巨人の来店経緯をきいたところ、今から5年ほど前に、太巻きを食べたくて来店したとのことである。普通、このようなカウンター中心のお店では太巻きを作ってくれるところは少ないが、マスターは嫌な顔一つせず(心の中はともかく)、注文に応じてくれ、なおかつ食べきれ無かった分はお土産に持たせてくれたそうである。なんて、優しくお客様思いなのであろうか。
その話をマスターにしたら、「そう、初めて来店したときのことは覚えていますよ。太巻きと上にぎりを頼んだんですね。でも食べきれないので、お持ち帰りを勧めたんですよ。」と鮮明に覚えている。もともと大阪の巨人は印象に残る方ではあるが、とはいえプロの寿司職人とは、このようにお客様の様子をきっちり頭の中にたたき込むのである。
さすがマスタ-、よく覚えてますね、といったら、「ええ、当時はほとんどお客様が来なかったもんですから・・・。」と謙虚である。腕のあるプロほど、謙虚でもある。
続いて料理はつまみあなご、ぶりの煮付け、さらに握りへと進む。食べきれないほどの量であるが、寿司は別腹のことばどおり、不思議と握りは食べられる。食べずにはいられないのが寿司竜の寿司である。
そのような中、明日の有馬記念の予想の前に、今日の競馬である。大阪の巨人と私以外のメンバーは、今日の馬券を投票しながらの宴会なのである。
本日のメーン競争のひとつは中山競馬場第10レース中山大障害だ。マスターが皆の歓談を制止する。寿司竜のラジオの実況放送が始まる。固唾を飲んで耳を傾ける。そして・・・。
ああっ!落馬。本命が落馬である。Hさんの落胆の声が寿司竜全体に鳴り響く。穴党にはこたえられない展開であるが、どうやらここに居るメンバーは意外と本命中心に買っているようで、やった!と喜びの声はあがらない。マスターは我関せず握りに忙しい。
ドンマイドンマイ、落ち込んでいる暇はない。おなかがだんだん苦しくなる中、次のレースもあると皆が気合いを入れ直し、いよいよ時は進んで本日の最終レースである。美女軍団の一人が、「15番のオハナから馬単を買っているんですよねぇ」と言うが、そんな馬が来るはずが無いと誰も反応しない中、レースがスタートする。
ラジオ中継は面白い。オハナがどこにいるかすぐには解らない。どうやら、中段後方を進み、最後に差してきたようである。最後の最後に「オハナが来た!」とアナウンサーが叫ぶ。寿司竜内がどよめく。「2着は何だ!」と周囲がわめく。2着次第では超大穴である。
2着は3番でこれも人気薄だ。超絶美人は3番を買っているのか・・・、皆が固唾を飲む・・・。
3番を買っている・・・。
やったぁ!当たったぁ!!
寿司竜内騒然である。その超絶美女は呆然である。最後の最後で大穴的中。寿司竜の忘年会を締めるにふさわしい展開である。あとは、楽しみな配当であるが、皆ラジオの配当放送に耳を凝らす。「・・・配当は、馬単●●円・・・」好配当である。家が建つほどではないが、それを明日の有馬記念の原資に追加して、さらに雪だるま式に増やしてほしい。そして、Hさん、Wさんに続き、私のウィスキーのボトル3本目に化けてほしい、と心密かに祈るが口には出さない。
素晴らしい的中の中、最後はデザートである(巻物もあったが食べきれないのでお土産となった)。まずはみかん。係のモノが直々に一人に2個づつ手渡しして行く。そして、メンバーからの差し入れのお菓子なども振る舞われ、最後に係のモノが切り分ける生クリームたっぷりのケーキがでる(切り分け途中に生クリームを床に落としてしまい、最後の1個はスポンジだけになってしまったが・・・)。
皆、満腹で声も出ない中、名残惜しいお開きである。マスターとママのお陰で、しろあり軍団の居場所がある。いずれシロアリ軍団から、輝くスターが飛び立つその日まで、マスター・ママ、元気でよろしくお願いいたします(飛び立つ日がこなければ永遠によろしくお願いいたします)。