5時ちょうどの到着。マスターはお通しの仕込み中だが、やはり最初の話題は先日の皐月賞から。
(当方)「いやあ、私は大穴のエコロ●●●から流したんですけど、少し出遅れ気味で、まったくチャンスはなかったですね。騎手は武豊だったんで少し期待していたんですけど。」
(マスター)「”出遅れて殿のママ”ってやつで、ウチのお客さんの人生と同じですね。ところで、今日は熊本地震の日なんですよ。ちょうどお袋の命日なんでよく覚えているんですよね。」
(当方)「そうでしたか。息子さんをみればどんなお母さんだったか解るという意味では、立派なお母さんだったんでしょうね。抜群に仕事ができ、きっぷが良くて、思いやりがあり、競馬も強く、お金儲けだけは今いちだけど、弱い者にも優しい本当に立派な息子さんを育てたものです。」
(マスター)「そんな褒められるには及ばないですが、”いい嫁”をもらったということと、いい友達ができたってことは、自慢していいかな。それもお袋あってのものですね。」
本当は思ってもいないことでほめてしまったが、”いい嫁”をもらったことは確かで、いい嫁に見初められる息子を育てたということでは、やはりお袋さんはG1級の方といえる。
「それにしても競馬やってると一年が早いですよね~。あのレースからもう一年かって感じですもんね。それでも昔は、休みの日なんか朝起きると競馬場や馬券売り場にすっ飛んでいったもんですが、最近はどうしようかななどとグズグズしてるんですよね。ホント年取りましたよ。」などと、カウンター内の椅子に腰かけながら話すマスターだが、最近は包丁が一段落したときには椅子に座っていることが多くなった。寄る年波は争えない。
しかし、今やこのマスターがなくしては、シロアリの人生はない。このG1級のすごいお袋さんの霊に、マスターといい嫁が、まだまだ元気に寿司竜を続けられるように、静かに祈る今夜である。