本来翌日に往訪予定だったのを急遽変更し6時過ぎの往訪である。奥から二人連れの方、上品なTさん、さらにもう一名の4名のお客様である。一番手前の特等席には誰も居ないが、念のためにそこは空けて手前から2席目に着座する。
このところ、いつもMさんと隣り合わせだったり別の連れと一緒だったので、今夜は久しぶりに一人静かにお酒をいただけそうであるが、静かにはさせないぞとばかり早速マスターから声がかかる。
「皐月賞、Hさんはやっぱり駄目だったようですよ。1枠のダノンから買ったみたいです。Hさんの場合、2週連続的中は無理ですよね。」
するとこの馬にとても深い縁のある上品なTさんが申し訳なさそうに小さくなっている。一時期のWさんを彷彿とさせる動きである。Wさんの持ち馬TB号は、買うと来ず、買わないとくるという難しい馬だったが、Wさんはいつもここで皆さんにお詫びしていたことが思い出される。
せっかくTさんにご縁のあるこのダノン号は、何とかTB号を超えて活躍し、Tさんが来店時は胸を張っていられるように頑張ってもらいたいものである。
「競馬の報告はそんなもんですが、話は変わるけどロシアが稚内に攻めてくるかもしれません。そんなことになったら大変ですね。」とマスターが私の田舎の心配をしてくれる。
「大丈夫ですよ。そんなことになったら、北国出身のぐりんぐりんのMさんと一緒に稚内に行って、スティンガーミサイルで迎え撃ちますよ。」
「Mさんじゃ頼りないけど、大王を連れて行くのはいいんじゃないですか。大王が出て行けば、ロシア兵は間違いなくひれ伏しますよ。」
確かに、大王が前面に出てきたら、ロシア兵も”プッ!”と吹き出し、笑いこけて、とても戦う気がしないだろう。素晴らしいキャラクターである。ウクライナ戦争の終わりが見えないが、ウクライナ戦争にもウクライナの大王とも言うべき人が出てきて、ロシア兵を笑わせて終戦に持っていってもらいたいものである。
ということで、一人静かなはずだった今夜も、Hさん、Wさん、Mさん、大王と皆一緒に居るかのような、いつもと変わらぬ寿司竜である。