今夜も5時過ぎに一番乗り。
カウンター中程に席が用意されているが、その席には自分のボトルの他に真新しいボトルが一本置いてある。先日、とてつもない馬券を当てたWさんからの差し入れである。Wさんは大穴を当てただけではなく、一度は足を洗った馬主への道を再度知人と一緒に歩むとのことで、勢いに乗っている。この勢いにあやかりたいと思っているところに、新婚のGさん夫妻が来店。
「夫婦だからバラバラに座る?」
とマスターに声を掛けられているが、バラバラに座るのは仮面夫婦や偽りの夫婦であり、Gさん夫妻は偽りまでにはまだまだ時間のあるラブラブの夫婦なので、仲良く一緒に着座する。
「ようやく今度新婚旅行へ行くんですよ」
「ほう、どこへ?」
「ハワイなんですけど」
「でもハワイのラーメンは3000円らしいですね」
「そうらしいんですよ。だからカップラーメン持ってこうかな」などと、明るい話題のうらやましいラブラブ夫婦。
すると暖簾の奥で電話が鳴り、係の者が取る。
「何人?誰から?」とマスターが問うと、「二人。何か外人さんみたい。」と係の者。
コロナも落ち着いて、ここ寿司竜にもインバウンドの波が押し寄せているのか。
その外人さんが来店する前に辞去したのでその方々には会えず、後で聞いた話だが、その外人さんはハワイの方々で、マスターが面白おかしくあしらっていたらしい。
マスターに面白おかしくあしらわれるとは、ハワイのシロアリかもしれない。寿司竜からシロアリではない新婚さんをハワイに送り出す代わりに、ハワイからシロアリがやってくる国際化しつつある寿司竜である。