6時過ぎに到着するとすべての席にお盆が置いてある中、税務に詳しいMさんが手前から3席目に陣取っている。5時過ぎに来店し、7時に予約のお客様が来られるまでの間、なんとか入店を許されたということで相変わらずマスターにいじめられているが、バランの上にはいつものようにかんぴょう巻きが載り、日本酒のとっくりを左手につまんで右手のぐいのみに静かにお酒を注いで呑んでいる。お寿司屋さんのカウンターに座り、自分の好きなものを頼んで、静かにお酒を味わう・・・いい光景である。
やや暫くして団体の幹事とおぼしき女性の方が入店し、「他のメンバーを待っている間だけど先にやっちゃおうっ!」とビールを注文する。笑顔の絶えない美しい方である。何でも息子さんは秋田の山奥のダムの工事現場で働いているということだが、それを聞いて俄然税務に詳しいMさんの気合いが入る。そう、Mさんは秋田県の出身なのである。
そのMさんである。なかなか人生のベテランであるが、体力には自信があるようで、特に腰を使う体力については「我ながら衰えを知らないいんですよぉ」と自画自賛し「縦の運動は誰でもできるんだけど、やっぱ、横の動きが大切なんですよ。ぐりんぐりんなんてできますかぁ?」と舌好調である。
そうこうしていると奥に団体のメンバーの方々が到着し、さらにボクシングに超詳しい方がこれまた美しい女性を伴って来店、さらにはWさん、Hさん、Gぶちさんとお連れさんなど見慣れた顔が勢揃いである。
そのような中で、「本来はとっくり2本までね」というMさんはついつい3本目のとっくりを頼んでさらに饒舌になっているが、あっという間に時間は過ぎて制限時間の7時になり、退席を促されて残りのお酒とつまみを掻き込んであたふたと席を立って行く。その後ろ姿を見送りながら、お隣のHさんと今週の有馬記念の予想に花を咲かせるのであった。